2011年6月21日火曜日

I_am_Milesさんのあるツイート

僕は登録していないのですが、ツイッターで音楽家のマイルス・デイビスさんの格言をつぶやく

I_am_Miles さん

をフォローしている知人がおり、見る機会がありました。


その中でこのようなツイートがありました。

「必要なのは才能じゃない。練習、練習、練習、それだけだ。('マイルス・デイビス自叙伝Ⅱ'P256)

I_am_Miles 7:26 PM Jun 18th via web」


このツイートから、マイルス・デイビスさんは、
音楽家にとって練習が最も重要、
というメッセージを残しているのかな、と想像する人がでる可能性があります。


ところが、マイルス・デイビスさんの真意は違います。
I_am_Milesさんのツイートにもある、マイルス・デイビス自叙伝ⅡのP256には、以下の文章があります。



「ウイントンは、まるで生命のない、古びたヨーロッパの音楽を演奏させられている。なんで彼は、アメリカの黒人作曲家の作品を演奏しないんだ?なんで彼らのためにチャンスを作ろうとしないんだ?レコード会社が黒人を使って本当にクラシックをやろういうんなら、なんで黒人の作曲家や、あるいは古臭い曲のかわりに、若い白人の作曲家をとりあげないんだ?ウイントンが取り上げている作曲家がダメだと言うつもりはないが、何度も何度も何度も、散々繰り返されてきたことじゃないか。ウイントンはそういった生命の感じられない、誰にだってできる類のことを演奏している。

そのために必要なのは才能じゃない。練習、練習、練習、それだけだ。

オレはそうした音楽を演奏するほど、自分を蔑んだりはしない。彼のように有能な奴が、どうしようもなくくたびれた音楽を演奏して、それを喜んでるのは白人連中だけだ。彼にもそう言ってやったことがあるんだがな。」

(出典:マイルス・デイビス自叙伝Ⅱ 256項
マイルス・デイビス、クインシー・トループ著 中山康樹訳 宝島社)



この文章からわかるように、マイルス・デイビスさんは音楽にとっては練習がすべて、というメッセージを残しているわけではありません。
当時(1985年と思われます)ウイントン・マルサリスさんのやっていた演奏に対して、必要なものが練習だけである、と言っています。



I_am_Milesさんの上記のツイートは、マイルス・デイビスさんの音楽に対する考えを間違って伝えている可能性があります。

僕が引用させてもらったところを含め、自叙伝を読めば、マイルス・デイビスさんが何に対して「必要なのは才能じゃない。練習、練習、練習、それだけだ」
と言っているのか伝わると思います。



鎌倉翔太 富山県

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